【概要】
冷凍機械責任者とは「高圧ガス製造保安責任者」免状における分類の一つです。細かいことは省きますが、冷凍機の冷凍能力によって第一種、第二種、第三種に免状が分類されます。
ただし、これはいわゆる運転免許のような物ではなく「高圧ガス保安法に基づく冷凍保安責任者に選任されるための免状」です。逆を言えば「冷凍保安責任者に選任される可能性がない職場では全く必要がない」免状です。大規模な店舗、冷蔵冷凍倉庫、ドライアイス工場など特殊な環境でなければ、この免状を要求されることはまずありません。
また、近年では高圧ガスを使用する設備が減少しており、また、高圧ガスを使用していても小規模な物を連結し自動制御を行う冷凍保安責任者不要の設備がほとんどであり、仮に第一種冷凍機械責任者のような難関上級資格を取得したとしても、その資格を活かせる職場というのは非常に限られます。
さらに、冷凍機械責任者試験を受験するために実務経験は不要ですが冷凍保安責任者に選任されるには実務経験が必要です。つまり、猛勉強をして難関の第一種冷凍機械責任者に合格したとしても、社会的にあまり評価されることはありませんし、実務経験を持たない免状保持者は冷凍保安責任者に選任出来ないので、宝の持ち腐れとなります。
履歴書の勲章にするために第一種冷凍機械を受験する人もいるようですが、電検やビル管などの資格と比較しても、評価は非常に低いです。くどくなりますがその理由は、必要とされる機会が少ないことと、実際に責任者になるには相当の実務経験と知識が必要だからであり、免許だけ持っていれば良いという訳にはいかないからです。
この資格が要求されるとすれば、ビルメンテナンス業や施設管理などでしょう。しかし、該当する設備を持たない現場では「必須」と言われる資格ではありません。あえていうなら「冷凍・空調の基礎的な知識を持っている証し」程度になる資格です。就職や転職などでハクを付けたくて資格を取得している人でしたら、この資格は一番後回しにして下さい。「余力があれば取得したい」程度の資格です。電工やボイラー、危険物乙四のように「持っているのが基本、無いと恥ずかしい」という資格ではありません。
ちなみに私は職場で該当する設備があったので、仕方なく第一種を取得しましたが、これは特殊なケースです。通常であれば「3冷」と言われる第三種冷凍機械責任者を取得しておけば十分です。この免状で一日の冷凍能力が100トン未満の設備の責任者になる条件を持てます。ちょっと調べればわかりますが、一日に100冷凍トンという能力は、かなりの規模です。実際にこのような設備の責任者に選任される可能性が低い人は、この免状を持っておけば御の字です。
ですので、ここでは「3冷(第三種冷凍機械責任者)」についてのみ話を絞って進めていきたいと思います。
【ハードル】
免状取得に対すハードルは、特にありません。誰でも受験できます。
くどくなりますが、冷凍機械責任者試験を受験するために実務経験は不要ですが冷凍保安責任者に選任されるには実務経験が必要です。これがハードルと言うところでしょうか。素人が免状を取得しても、それを活用できる機会は少ないです。
ただし、試験に合格すれば大臣や県知事の印鑑が押された立派な免状は交付されますので、この資格に関しては「免状をもらうのが目的」になります。そして、それで良い資格なのです。
【超裏技】
まず、肝に銘じて下さい。この試験は丸暗記では突破できません(法令問題を除く)。ボイラー2級や危険物のように過去問を解けば大丈夫という試験ではありません。私の周りのかなり優秀な知人が「過去問暗記路線」でこの試験を受験しましたが、皆さん見事に不合格となりました。
3冷には学識問題がありませんので、ターゲットは「保安管理技術」です。この試験の合否を分けるのはこの教科になります。
冷凍機に触れたことのない人には非常に辛いことですが、やはり「冷凍のしくみ」を正しく理解していないと、応用が利かないので目標の60点をクリアできないです。平たく言えば、なぜ真夏の暑い日にエアコンから涼しい風が出てくるのか……。この辺を専門用語でなくとも、自分の言葉で良いからちゃんと説明できるようにならなければ、問題に書かれている意味すら理解できないかも知れません。
他の試験と同じように、問題の最初の方は計算問題が数問出ますが、計算が苦手なら捨てても大丈夫です。3冷に関しては計算問題を捨てても合格できます。ただし、その後に出てくるph線図(モリエル線図)に関しては、正しく理解しておかないと得点できません。素人には非常に難解な世界ですが、これをパスしていたら一生合格は無理です。
逆を言えば、これこそ「試験のツボ」なんです。3冷なら上級試験のように多段圧縮という難易度の高い問題は出題されませんので、ぜひ時間をかけてじっくりと理解して下さい。後述で紹介したいと思いますが、あまり分厚い専門書よりKHKサービスから出版されているような「イラスト解説物」で基本を理解するのが一番良いと思います。落書きのような感じでよいですから「凝縮→膨張→蒸発……」と、自分なりにスラスラと線図を描くことが出来るようになれば、合格は目の前です。
法令問題に関しては、他の試験と同じようにコツコツと過去問を繰り返すのが一番ですが、高圧ガス保安法というのは弁護士も頭を悩ますほどの難解な法律だそうです。とにかく「例外」の記述が多いので、記憶するのが困難なのです。ですので、ここはそれを逆手にとって「例外を暗記する」という学習法をおすすめします。実際に過去問を見て頂ければわかりますが、各種届け出や申請手続きなどの例外部分を突いてくる問題が、かなりの割合を占めています。この辺の裏をかけば、学習時間を大幅に短縮できることは間違いありません。